いざという時知っておくべきことのひとつに、「債務整理」があります。
人はいつどんな時、お金がなくなるか、返済できなくなってしまうかわかりません。
そうした時夜逃げや闇金に手を染めることなく、法的に解決する方法が債務整理です。
債務整理には大きく分けて4つの方法があります。
それぞれメリット・デメリットがあり、その人の状況によって選ぶべき手続きが異なります。
いざ手続きをはじめても、それで借金が整理できなければ意味がありませんよね。
このページでは債務整理の4つの方法について、イラスト付きで詳しく解説しています。
債務整理について何もわからない、という時には、まずこのページから参考にしていってください。
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債務整理とはどんな手続きか?イラストでわかりやすく解説!
債務整理とは、一番簡単に言うと、「借金を返しやすくする手続き」です。
裁判所を通したり、お金を貸した「債権者」と話し合うことで、借金を整理することを指します。
借金を返済することができなくなった時、何もしないまま放置するのはご法度です。
まずは弁護士事務所に相談した上で、状況に応じた手続きを取ることになります。
債務整理には大きく分けて4つの方法がありますので、イラストで簡単にご紹介しましょう。
自己破産について詳しく知りたい | こちら |
個人再生について詳しく知りたい | こちら |
任意整理について詳しく知りたい | こちら |
特定調停について詳しく知りたい | こちら |
債務整理共通のデメリット。5~10年は金融事故として登録される
債務整理それぞれのことを説明する前に、債務整理を行うことで発生する共通のデメリットについて触れておきます。
債務整理とは、いずれもお金を貸した側との合意のうえで、借金額を減らす手続きです。
「踏み倒し」とまではいきませんが、事実上完済することができなかった、という記録が残ります。
これを「個人情報信用機関への事故情報の登録」と言い、一般的には「ブラック入り」「ブラックリスト入り」と呼んだりします。
※実際にはブラックリストというリストは存在せず、俗語・通称として知られている
ブラック入りするとどんなデメリットがあるの?
個人情報信用機関に金融事故として債務整理が登録されると、次のようなことができなくなります。
上記に共通することは、そのすべてに保証会社や各金融機関の金融審査があることです。
こうした金融審査では、申し込んだ人の信用情報を必ず調査します。
そこに債務整理をした、という履歴が残っていれば、その人の金融における信頼はゼロに近しい、ということ。
つまり、審査を申し込んでも門前払いされてしまうことになります。
個人情報信用機関とは?どのくらいの期間登録されるのか
それでは、こうした事故情報はどのくらいの期間保存され続けるのでしょうか。
個人情報信用機関には大きく分けて3つの種類があります。
個人情報信用機関 | 登録年数 |
JICC(日本信用情報機構) | 5年 |
CIC | 5年 |
KSC(全国銀行個人信用情報センター) | 10年 |
このように、一度債務整理をするとかなり長い間事故情報が保存されてしまいます。
この情報は自分の申し出で消すことはできないので、ただこの期間の経過を待たなければいけません。
こうしたデメリットがあるということを念頭に置いた上で、債務整理についてご紹介していきましょう。
債務整理における自己破産とは?メリットとデメリットを解説
債務整理の代表格として知られるのが「自己破産」です。
よく「破産すると何もできなくなる」「人生の終わり」と言われますが、それは大きな間違いです。
自己破産は誰でも利用できる最後の救済措置であり、借金解決の最短ルートでもあります。
なぜなら、自己破産手続きを行うことで、それまで抱えていた借金がゼロになるからです。
このように、自己破産最大のメリットは「借金がゼロになる」ことです。
また、自己破産には2つの手続きがあり、それぞれの特徴は以下のとおりです。
同時廃止事件と管財事件の違いとは?
自己破産して「同時廃止」になるか、「管財事件」になるかは、財産の有無で決められます。
財産がある場合、これを換価して売却しなければなりません。
この時、裁判所に代わって対応する「破産管財人」という人が、財産の管理や処分について手続きを行います。
処分する財産の数が多いほど破産管財人の仕事が多くなり、その分だけ時間と費用がかさむ、というわけですね。
財産が少ない場合は少額管財事件になることも
しかし、個人で自己破産する場合、換価できる財産が少ない場合も多いです。
そういった時、手続き費用が払えないから自己破産できない…ということがあっては困りますよね。
そこで「少額管財」といって、破産管財人の仕事を減らす代わり、納める費用を軽減する手続きがあります。
個人の自己破産で住宅や車を所有しているとき、多くの場合「少額管財事件」となります。
処分する財産がまったくない場合は同時廃止事件になる
一方で、処分する財産が全くない場合は、破産管財人を通す必要がなくなります。
破産管財人に支払う費用もありませんし、時間もかからずに手続きが終わります。
自己破産は借金がゼロになるかわり、デメリットの大きい手続き。
自己破産は借金を支払う義務がなくなる手続きですが、その分デメリットも数多くあります。
自己破産の大きなデメリットとして、手持ちのめぼしい財産を手放すことが挙げられます。
- マイホーム
- 自動車
- 20万円以上の財産や預金口座
- 99万円以下の現金
上記のようなものは没収され、売却され借金返済に充てられます。
また、債務に保証人がついている場合、返済義務がそちらへ移ってしまうことになります。
新たなトラブルのもとになりやすいので、自己破産手続きを行う前に相談しておきましょう。
また自己破産すると、官報に氏名と住所が記載されることになります。
官報とは国が発行している機関紙ですが、これは一般の方が目にすることはほとんどありません。
自己破産してはじめて、「官報なんてはじめて聞いた」という方も多いかもしれませんね。
また限定された期間ではありますが、就ける職業が制限されることになります。
これは裁判所に破産申立をしてから免責許可が出るまでの間、一部職業に制限がかかるものです。
特に警備員や弁護士など、信用が重視される職務に就いている方は要注意です。
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個人再生のいいところ・悪いところ。手続きの煩雑さに要注意
「個人再生」とは、自己破産と同じく、裁判所を通して、返済する借金額を減らす手続きです。
個人再生という手続きでは、自己破産のように借金がゼロになるわけではありません。
借金額を減らし、その後数年間で返済していく計画を立て、それが債権者に認められてはじめてできる手続きです。
…すでに手間と時間がかかりそうだな、と感じている方も多いかもしれませんね。
個人再生の種類。小規模個人再生と給与所得者等再生とは?
個人再生にも自己破産と同じように2つの種類があります。
大まかな利用条件の違いは以下の通りです。
参考:http://www.courts.go.jp/sendai/saiban/tetuzuki/kozinsaisei/
個人再生手続きで返済しなければならない最低金額は?
個人再生では手続き後も返済を続ける必要があります。
このとき、抱えている借金総額によって、返済しなければならない最低金額が変わります。
小規模個人再生のときには、以下の表のとおりの返済額が必要です。
借金総額 | 最低返済額 |
100万円未満 | 総額返済する必要あり |
100万円~500万円 | 最低100万円 |
500万円~1500万円 | 総額の1/5 |
1500万円~3000万円 | 最低300万円 |
3000万円~5000万円 | 総額の1/10 |
5000万円以上 | 個人再生利用不可 |
給与所得者等再生の場合、上記の表で出した金額と、自分の所得額を比べる必要があります。
少しややこしいので、イラストで具体例を挙げて説明しましょう。
仮に144万円の借金を3年間で返済するとなると、ひと月の返済額は4万円にまで減額できます。
自己破産のように返済がなくなるわけではありませんが、そのぶん財産が残せるなど大きなメリットも多い手続きです。
個人再生でかかる費用。決して簡単な手続きではないので専門家を頼るべき
しかし、個人再生は決して容易い手続きではなく、費用や時間のかかる債務整理です。
一般的には申し立てから確定まで、約4ヶ月~6ヶ月ほどかかります。
これは再生計画案が各債権者に認可されるまで、半年ほどの時間がかかるためです。
また、諸費用については以下の通りです。
申し立て手数料 | 1万円 |
予納金 | 個人再生委員あり 31万1,928円 |
個人再生委員なし 1万1,928円 |
|
郵便切手 | 1,920円~ |
参考:http://www.courts.go.jp/sapporo/saiban/tetuzuki_tisai/kozin_saisei_tetuzuki/index.html
この他に弁護士に依頼する必要があるので、その分の費用もプラスされます。
個人再生は自己破産ほどデメリットも大きくありません。
しかしそのぶん煩雑な手続きになる、ということを覚えておいてください。
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任意整理は最も利用される債務整理。借金が減らない場合もあり?
「任意整理」とは、債務整理の中でも最も多くの人に利用されている手続きです。
自己破産や個人再生と違って、裁判所を通さないため、比較的手軽に行える債務整理なんですね。
とはいえ、専門の弁護士事務所に相談した上で、しっかり手続きを踏んでいく必要があります。
また、自己破産や個人再生に比べ、減額できる返済額が少ないことも要注意です。
任意整理では、弁護士が債権者と話し合った上で将来利息をカットする
任意整理ではまず、債務整理専門の弁護士事務所に相談を持ちかけます。
そこでまずは委任状を作成し、お金を借りている各債権者に送付します。
その段階で取り立てがストップするので、催促に悩まされている方にはとても有効な手続きと言えます。
任意整理において、弁護士が債権者と交渉する主な内容は以下のとおりです。
グレーゾーン金利と過払い金については、よくテレビCMでも放映されているのでご存知の方も多いかもしれません。
しかしこれは、高金利の時代に消費者金融から借り入れていた人に限ります。
また時効があるので、すべての人が利用できるわけではありません。
一般的に弁護士が交渉するのは、将来的な利息のカットによる返済額の減額のみとなります。
任意整理のメリットとデメリット。あくまでも弁護士事務所の手腕が重要になる手続き
任意整理におけるメリットとデメリットは以下のとおりです。
任意整理は裁判所を通さないので、比較的手続きが簡単です。
自己破産や個人再生のように財産を処分したり、官報に記載されるようなこともありません。
また弁護士が委任通知を送付した時点で、取り立てが一時的にストップします。
しかし、任意整理は裁判所を通さない手続きなので、借金が大幅に減額される、ということはありません。
ただし、債務整理に強くない弁護士の場合、債権者との交渉に失敗するおそれもあります。
また一度も返済していないローンの場合、利息カットや任意整理そのものを断られることも。
あくまでも任意整理を行う弁護士の手腕が重要になる手続き、ということを覚えておきましょう。
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特定調停でとにかく安く債務整理。安くできるところしかメリットがない!?
「特定調停」とは、簡単に言うと「自分で債務整理を行う」手続きです。
簡易裁判所を利用して債権者と相談し、利息のカットや借金の減額を交渉することになります。
この手続の最も大きなメリットは、他の3つの手続きに比べ、費用が格安で済むところです。
知識がなくても大丈夫?特定調停は平日に裁判所に通う必要がある手続き
特定調停ではとにかく費用が安く済み、早期に債務整理できる手続きです。
例えば、債権者が1社であれば、総額920円程度で債務整理ができます。
※内訳:収入印紙1社あたり500円+郵便切手1枚420円=920円
また裁判所が交渉の手助けをしてくれますので、専門的な知識をつけなくても利用することができます。
平日に裁判所に通えないと利用は厳しい
しかし、簡易裁判所の利用は基本的には平日です。
そのため、会社勤めをしている社会人の方にはなかなか難しい手続きになってしまうでしょう。
また他の手続きであれば、専門家が行う申立書の記入や必要書類集めも、すべて自分で行わなければいけません。
また手助けをしてくれるとはいえ、債権者が交渉に出てこなければ手続きは進みません。
このように安く済む手続きとはいえ、様々なデメリットがあります。
特定調停の大きなデメリット。返済できなければ即刻差し押さえになることもある?!
また特定調停最大のデメリットとして、返済ができなくなった場合、即刻差し押さえになるケースがあることが挙げられます。
これは交渉した債権者との合意が、裁判所によって「調停調書」という形で残されるためです。
調停調書には法的効力があり、条件が守られなかった場合、債権者はすみやかに強制執行手続きに移ることができます。
強制執行が行われると、自動車や住居、給与などが差し押さえられることになります。
特定調停のデメリットは、「不安な時間をひとりで過ごす時間が長い」ことかも…
特定調停のデメリットをいくつかご紹介しましたが、もう一つ大きなデメリットがあります。
それは、いざという時頼れる専門的な相談相手がいないことです。
裁判所も確かに手助けはしてくれますが、弁護士ほど頻繁にやり取りすることはできません。
特定調停では、しっかり手続きをこなせるかどうかわからない不安を払拭してくれる人がいないのです。
借金が返せない時というのは、精神的にもかなり参っている状況の方が多いはず。
そんな時に一人きりで債務整理を行い、その後も滞納なく返済を続ける、というのは、生半可な覚悟では達成できません。
どうしようも費用が惜しい、自分でやりきれる、という自信がない限りは選ぶべきでない方法と言えるでしょう。
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どれを選ぶべき?債務整理方法と専門家!
ここまで債務整理の4つの方法と、それぞれのメリット・デメリットをご紹介してきました。
では、実際に債務整理を行う時、どの手続きを行うべきなのでしょうか。
その人の状況に応じた選択を。細かな条件や選択は専門家におまかせ
債務整理をする上で最も重要なのは、その手続き選びです。
以下に大まかな判断基準を示しましたので、自分に当てはまるものがあるかチェックしてみましょう。
このように、その人の状況に応じて選ぶべき債務整理が大きく異なります。
詳しくは弁護士と相談した上で、どれが最も適しているのか判断してもらうと良いでしょう。
弁護士を頼るときは、必ず「債務整理」専門の弁護士事務所へ
「債務整理したいから、とりあえず弁護士事務所へ」と思っていませんか?
弁護士事務所は病院と同じで、それぞれに得意としている分野があります。
例えば、「離婚調停」専門の事務所に「債務整理」を持ち込んでも、的外れな対応をされていまいます。
債務整理を行う時は、必ず「債務整理専門」の弁護士事務所に相談してください。
また、多くの事務所のホームページでは「借金がどれだけ減るかわかる」シミュレーターが設置されています。
無料で相談を受け付けている事務所も多くなっているので、費用削減のためにも積極的に利用していきましょう。
世間の目よりもずっと、借金問題は根の深い問題です。
自分ひとりで解決できるとは決して考えないでください。
まとめ:債務整理方法の正しい選びかた。最低限の知識を備えて臨みましょう
このページでご紹介したのは、各債務整理における最低限の知識です。
それぞれのメリット・デメリットを把握した上で、自分に向いている手続きを考えてみてください。
またもちろん、それがあなたにとって必ず正しい手続きであるとは限りません。
必ず債務整理専門の弁護士に相談した上で、慎重に手続きをこなしていってください。
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