任意整理後に借金が返せないことも考えられます。
例えば、入院などの長期療養を余儀なくされる病気や怪我です。
または、リストラや勤め先の倒産で職を失うケースがあります。
このような場合には、任意整理の交渉代理人である弁護士や、借入先のカード会社に連絡および相談することが解決への第一歩となります。
ここでは、任意整理後に借金の返済が厳しくなった際の具体的な解決策について紹介していきます。
任意整理後に借金が返せない場合の解決策
任意整理とは、弁護士などの代理人が債権者と交渉し、金利をゼロにした元金だけの借金を、5年を目安に返済していく合法的な方法です。
順調に毎月滞りなく返済できれば、人生の再スタートのチャンスでもあります。
とはいえ、5年の間には、病気や怪我、リストラなどで返済が難しくなることも考えられます。
任意整理後に借金が返せない場合の解決策には、次のようなものがあります。
- 代理人の弁護士や借入先への連絡・相談
- 任意整理の再和解交渉
- 個人再生
- 自己破産
代理人の弁護士や借入先への連絡・相談
任意整理後に借金が返せない場合に、何よりも優先されるのは、代理人の弁護士や、借入先への連絡および相談です。
何らかの事情でその月の返済が遅れそうな場合には、可能な限り早い段階で連絡してください。
「遅延」と「延滞」の違い
「遅延」は、返済日から1日以上遅れた場合のことをいいます。
一方で「延滞」は、返済日から61日以上経過した状態が当てはまります。
そのため返済できない時の弁護士や借入先への連絡は、「遅延」の前に行うのがベストです。
遅くても「延滞」の前には連絡をする必要があります。
一括返済請求
任意整理では、2ヶ月分の滞納によって、債権者(借入先)が「一括返済請求」ができるような取り決めになっていることが大半です。
そのため、借入先の金融業者によっては、一括で残額の返済を求めるところもあります。
弁護士費用の延滞
任意整理の代理人となって交渉を担当する弁護士への費用が延滞した場合、弁護士が辞任する可能性があります。
もし途中で辞任された場合、手付金などのすでに支払った費用が戻ってくることはありません。
その後は別の弁護士を探して、借入先と交渉をすることになります。
任意整理の再和解交渉
任意整理後も借金が返せない場合、再和解交渉をする方法もあります。
例えば、「毎月5万円の返済では厳しいので、3万円から4万円になりませんか?」といった交渉です。
ただし、1回でも遅延があった債務者の場合、債権者は、「本当に返済してもらえるのだろうか?」という不安を抱くことも考えられます。
担当の弁護士の経験や交渉のスキルなども大きく影響します。そのため、再和解交渉は難しいことがほとんどです。
ちなみにリストラや病気や怪我が原因で返済が滞る場合には、再和解交渉をしても任意整理の手続は不可能となります。
個人再生
任意整理後に借金が返せないようなら、個人再生を選択するやり方もあります。
個人再生は借金総額の5分の1から10分の1に減額できる手続きです。
借金総額が5000万円までの個人が対象となります。株式会社や合同会社などの法人には適用されません。
借金総額 |
最低返済額 |
100万円未満 |
全額 |
100万円~500万円 |
100万円 |
500万1円~1500万円 |
借金総額の5分の1 |
1500万1円~3000万円 |
300万円 |
3000万1円~5000万円 |
借金総額の10分の1 |
※「小規模個人再生」の場合です。「給与所得者再生手続」の場合は算出法が異なります。
個人再生の適用後は、減額された借金総額を3年を目安に返済することになります。
交渉によっては、返済期間を5年に延長することもできます。
元の借金総額が1000万円だった場合、5分の1である200万円を3年かけて返済します。(200万円÷36ヶ月(3年)=55,555円)
そのため、返済可能な収入があることが第一の条件です。
個人再生のメリット
個人再生のメリットは、住宅ローンが対象外になる点があります。そのため、持ち家を残すことが可能です。
財産を残したまま借金を大幅に減額できるため、将来の収入が見込める場合には有効な手続きです。
個人再生のデメリット
一方で、個人再生のデメリットは、官報に住所や名前が掲載されることや、5年から10年の間、信用情報機関に「事故情報」として記録される点があります。
自己破産
任意整理後に借金が返せない場合、自己破産を選択する方法もあります。
自己破産は、裁判所に申立を行い、免責が認められた時点で、税金を除いた借金のすべてを「0円」にできる債務整理です。
持ち家や自動車などの資産はすべて没収されます。
ただし、20万円以内の現金や預貯金に限り、所有することが可能です。
自己破産のデメリット
官報に氏名と住所が掲載されます。信用情報機関に「事故情報」として10年以上記録が残ります。
また、借金の理由や金額によっては適用されないケースもあります。
弁護士や税理士、行政書士や警備業など、免責が決定するまでは就けない職種が存在します。
そうした職業に就いている方は該当していないかどうか、事前によく確認しておく必要があるでしょう。
まとめ:任意整理後に返せなくなった場合、他の債務整理を行うことで解決する
任意整理後に借金が返せない状況となった際には、まずは担当の弁護士、借入先の金融業者への連絡と相談を優先します。
その後、返済が厳しいようであれば、個人再生や自己破産の手続きをすることで、解決策とする方法もあります。