「自由な仕事」というと、あなたはどんな仕事をイメージするでしょうか。
出勤・退勤の時間が自由に決められたり、働き方に関してある程度の自由が認められていたり…。
企業側が従業員の意向に寄り添ってくれると、「ここで頑張って働こう!」という気持ちになりますよね。
でも現実問題、なかなかそんな会社はありません。
それに、入社してみなければ詳しい決まりごとがわからないのが現状です。
全部を自由にしてしまうと会社そのものが成立しませんし、利益を生むこともできなくなります。
それでは、一体何が自由なら労働者は満足するのでしょうか。
ここでは「自由な仕事」について、色々な視点から考えていきましょう。
働き方に関する自由な制度は、労働者にとっても企業にとっても有益なことばかり!?
昔は当たり前だった「週5日8時間勤務」。
現在では正社員が集まらず、逆に生産性が悪いとして見直されている傾向にあります。
そもそも「1日8時間」というのは、「これ以上働かせると体調に支障が出る」とするラインのこと。
それを日本企業は「8時間なら働かせても良い」と解釈し、より長い残業や激務を強いている現状があります。
また海外では「定時で帰宅するのが当たり前。それまでに仕事が終わらなかったのならそこが自分の限界」だとしています。
ところが日本人は「定時までに終わらなかった分は残業してでも終わらせる」と捉え、それが当たり前になってしまいました。
とにかく「働き方」に関して、個人に寄り添えないことのほうが多い日本の企業。
しかしこんな社会だからこそ、働き方を見直そうとルールを変える企業も少なくないのです。
フレックス、裁量労働制、フリースケジュール…働き方に関する自由度が求められている
仕事や働き方における自由といえば、どんなことが思い当たるでしょうか。
せっかくなので思いつくだけ挙げてみましょう!
- 服装自由
- 髪型、ピアス自由
- 飲食、おやつタイム自由
- 休憩時間、仮眠自由
- 出勤日自由(フリースケジュール)、欠勤日の連絡禁止
- フレックスタイム制(出退勤時間自由)
- 有給休暇、育児休暇の取得率が高い
- 裁量労働制(業務量の調整)
- 副業自由
- 嫌いな仕事なし
こうして見ると「どんだけ自由になりたいんだよ!」と思う方もいるかもしれません(笑)
でも、これらがすべて実現した会社…ちょっと見てみたいですよね。
さすがに全部実現!とまではいきませんが、一部の自由を取り入れている企業を見てみましょう。
服装自由は最早当たり前!?髪型・ピアス自由は飲食店やアパレルに多い
服装や髪型、ピアスの穴が自由なのは、やはり飲食店やアパレル販売店が多いです。
他にはライブハウスの店員など、「人に見られるけどかしこまった場所ではない」業種ですね。
ですが、最近では事務業でも服装自由は最早当たり前。
制服を支給する企業もありますが、ゆったりと落ち着ける格好で仕事をしたほうが効率があがる、と考えているようです。
そういえば筆者の知り合いも、「髪型が自由じゃない仕事はイヤ!」と、せっかく決まったバイト先をすぐに辞めてしまったことがあります(笑)
飲食・おやつタイム、休憩時間自由はオフィスでの特権?裁量労働制はうまくいくのか
しかし、流石に飲食店勤務で接客しながらおやつを食べる、というわけにもいきません。
飲食やおやつタイム、休憩時間に自由に入りやすいのは、やはりオフィスワークです。
特に裁量労働制を取り入れている企業では、一日の仕事量を自分で調節できます。
この裁量労働制については度々議論されますが、うまく活用している職場もゼロではないのです。
人間の集中力は何時間も持続しませんし、ずっとパソコンに向かっていれば効率が悪くなるのは当然です。
よりスピーディーかつ効率よく仕事を終わらせるには、各々がストレスなく休憩時間を取ることができる自由度も必要になるでしょう。
△出勤日も出勤時間も自由!?嫌いな仕事はしなくていいとある工場の話
自由な仕事について調べていたとき、とても興味深い記事と出会いました。
―出退勤自由、嫌いな仕事はしない? 前代未聞、エビ工場の働き方が教えてくれること
これは大阪の天然エビ加工品工場「パプアニューギニア海産」に関する働き方の記事です。
なんと「フリースケジュール」を導入し、出勤日や時間を自由に、さらにその連絡を禁止する制度を取り入れている、とのこと。
また「嫌いな作業はしなくていい」という制度も盛り込み、モチベーションアップに繋げています。
こんなことをして仕事が回るのか?という疑問が残りますが、全員が出勤しなかった日は4年間でたった1日だったそうです。
ある意味、真面目な日本人の性質をうまく取り入れた画期的な制度だと言えるでしょう。
この他にも、出退勤時間が自由な「フレックスタイム制」を取り入れている企業が増えています。
10時~15時などのコアタイムだけは必ず働いて、それ以外は個々の仕事量に任せる、というものです。
このフレックスタイム制は大企業などでは積極的に取り入れられていますが、中規模以下の企業ではまだまだ遠い世界の話として見られているようです。
プレミアムフライデーをはじめ、どんな企業でも必ず取り入れられる制度の是正が求められていくでしょう。
副業自由、有給取得率100%…ストレスや重圧のない企業のほうがずっと良い
近年「副業」がメディアで注目されるようになり、その自由化が推し進められています。
「副業禁止と言うなら、副業しなくてもいいくらいの給与が欲しい」…というのが、労働者たちの本音です。
他にも「有給はあるけど消化できない」「使わないよう重圧をかけられる」「育児休暇が取りづらい」など、休暇について何かしらのストレスがある方が多いようです。
もちろんそういった労働者の声に耳を傾け、規則を見直す企業もないことはありませんが少数です。
個人の生活やステップアップを後押ししてくれる企業と、そうでない企業。
労働者が大変な生活を送っている時に、休暇を許可してくれる企業と、そうでない企業。
子どもが生まれ、育児休暇を取ったあとも戻ってきやすい企業と、そうでない企業。
どちらでより仕事を頑張りたいかは明白ですよね。
性善説や日本人の気質に基づく制度の見直し…それによる実際の効果は?
こうした働き方改革になかなか踏み切れず、慎重に事を進めている企業も決してなくはありません。
企業側にとっては、長年続けてきた慣例を一挙に見直し、改革する一大事。
それにまつわる制度の整備をはじめ、場合によっては取引先との都合もつけなければいけません。
どうしても保守的になってしまうのは仕方ないとして、なぜ他の企業は改革に踏み切れているのでしょうか。
「台風の日でもやってくる従業員」…ルールがあればあるほどストレスが大きくなる
前項でも紹介したエビの加工品会社では、出勤日を自由にしたにもかかわらず、台風の日でも従業員がやってきたと言います。
「こんな日だから誰も来ないのではないか」「行ったほうが助かるのではないか」…。
こういった心配をするのは日本人ならではというか、責任感のある方らしいですよね。
さらに「性善説」と呼ばれる、人間の本性は基本的に善であるとする概念にも基づいています。
絶対仕事に来なければならない!という取り決めがなくても、出勤してくれる従業員がいる。
いかに普段、企業側が職場の働き方に関して熱意を持っているか、よくわかる出来事ですよね。
法律や企業内の決まりごとにストレスを感じる人は必ず出てきますし、どうしようもありません。
けれど、ルールがあるならそれが当たり前で、それに従わなければならない。
自分にとってそれがどんなに苦痛でも、誰もが同じように仕事をしているから何も言えない。
そんな過大なストレスが、モチベーションの低下、生産性や効率の低下を呼び込んでいるのです。
自由な制度を導入するとどうなる?企業側にとっても好循環が生まれる様子
では、企業がこうした自由な社風を取り入れると、どのような効果が生まれるのでしょうか。
1 |
離職率の低下 |
2 |
求人広告費、人件費の削減 |
3 |
商品や成果物の品質向上 |
4 |
仕事の効率の向上 |
5 |
従業員ひとりひとりが能動的に動くようになる |
仕事を探している方はよくわかると思いますが、いつ見ても常に求人広告が出ている会社がありますよね。
これは、「常に人が入れ替わる=離職率が高い=何らかの問題がある」ということに他なりません。
企業側としても、求人広告を出して人を集めたり、新人を育成したりするには相応の費用と時間がかかります。
従業員ひとりひとりの生活を大切に考えているのなら、働きやすい職場を目指して試行錯誤するはずです。
にも関わらず離職率が高いままということは、企業側が労働者のことを考えていないということ。
当然ですが従業員のモチベーションも上がらず、会社がワンランク上へ進むには難しい状態にあるでしょう。
企業が労働者に寄り添う、ということは、ひとりひとりに信頼を置く、ということでもあります。
従業員が自信を持ち、モチベーションを保ちながら効率よく仕事をすることで、会社の利益アップに繋がる。
これ以上喜ばしい好循環はありませんが、ブラック企業ばかり槍玉に上がり、なかなか表沙汰にならないのが悲しいところです。
まとめ:「好き」より「自由」を優先すべき?自分の性格と要相談
このページでは「自由な仕事」について取り上げましたが、「ルールや規則があったほうが働きやすい」という方もいます。
すべての人に自由な仕事がフィットしている、というわけでもなく、塩梅は難しいところです。
しかし時代の流れとして、自由に働き、自分の時間を目一杯作りたいと思っている人が増えていることは間違いありません。
企業側も少しずつではありますが、方向性を変えたほうが利益を生む、ということに気が付き始めています。
「好きな仕事」か「自由な仕事」か、どちらを優先するかは、結局はその人の性格次第です。