皆さんは定年退職後、老後のことを考えたことはありますか?
仕事を辞めて、悠々自適にのんびり暮らしたい…そう考えている方もいるかもしれません。
しかし、思いもよらない事態から「老後破産」に陥ってしまう高齢者も少なくないのです。
どんなに充分な貯蓄をしていても、突然の怪我や病気、事故や入院…お金がかかることは数知れません。
生活費の削減を図らなければ、あっという間に貧困に追い込まれることになります。
ネットニュースでは、「貯蓄は1000万~1億以上必要!」と書いているメディアもあるほどです。
それでは老後破産を回避するためには、具体的にどういった対応を取るべきなのでしょうか。
また貯蓄はいくらくらいあれば安心できるのか、ということについても見ていきましょう。
老後破産を回避する方法は?「貯蓄は5000万円以上必要」はウソ?本当?
老後破産とは、社会において存在する高齢者に関する問題であり、これは独居老人が貧困により破産状態の生活を送らざるを得ないような状態になっているということである。
参考ウィキペディア:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%80%81%E5%BE%8C%E7%A0%B4%E7%94%A3
老後破産に関する記事を読んで、将来のことを悲観する方も少なくありません。
将来的に年金がカットされるかも…という不安から、保険料の納付をしない若者も増えています。
自分で貯蓄をするにしても、貧困からお金が貯められず、先行きが不安でしょうがない。
何となく「なるようになる」と思っていても、いつの間にか陥ってしまうのが老後破産です。
結局貯蓄はどれくらい必要?500万円では確実に破産してしまう?
老後破産しないためには、とにかく貯蓄が必要。
メディアによってこの金額は様々で、「1000万円」「5000万円」「数億」とまで言われています。
しかし、一般的なサラリーマンが一生涯で稼げる給与額はそこまで余りあるものではありません。
東洋経済オンラインによると、2017年末に調査した3201社の平均生涯給料は2億1803万円だったそう。
参考:http://toyokeizai.net/articles/-/195054
ただしすべて上場企業の話であり、中小や非正規で働く方の場合さらに目減りします。
では老後破産しないためには、結局貯蓄はどのくらい必要なのでしょうか。
どれだけあっても破産する?生活費のサイズダウンが重要
例えば「老後破産を回避するには5000万円必要」だとしましょう。
50代で貯蓄が1000万円の人が、定年退職までに5000万円貯めることは不可能ですよね。
また5000万円の貯蓄があったとしても、病気や怪我など思わぬ出費がかさみ、結果として老後破産を迎えるケースもあります。
結論を言うと、どれだけ貯蓄があっても老後破産しない、とは言い切れません。
どんなに出世してお金を稼いだ人でも、それまでと同じ生活をしていればたちまち困窮します。
定年後の収入はそれまでの1/3以下にまでなると言われています。
例えば「定年したしちょっと大きな買い物をしよう」「海外旅行に行こう」など、本人にとってはちょっとした贅沢でも、長期的な目で見ると大きな損失になってしまうこともあります。
こうした贅沢をしながらも、いつ来るか分からない困窮に備えるためには、日頃からの生活費の見直しがとても重要と言えるでしょう。
参考:http://gendai.ismedia.jp/articles/-/40603?page=4
老後破産の生々しい実態…誰にも頼れず、貧困が極まってはじめて相談する
「生活が苦しくて、相談窓口に行っても相手にしてもらえない…」
若い貧困層は、とにかく早い段階で相談窓口を探し始めます。
ネットが普及した今だからこそ、保健センターがどこにあるのか、どこでどんな相談に乗ってもらえるのか、すぐに分かるようになりました。
それでも充分な相談やアドバイスが貰えなかったり、大した対応もされないままたらい回しにされたりすることが問題となっています。
しかし定年を迎えた方で、ネットやパソコンを使いこなせる方はまだまだ多くありません。
それどころか、「国や若いものに頼ったり、お金をもらうことは世間の恥だ」と考えることもあります。
貧困に困り、住む場所も食べるところもなくなって、それではじめて相談に来る…というケースが非常に多いのです。
- 家族や友人に頼れない
- そもそも相談に行かない、相談先が分からない
- 補助や給付金の利用もできない
こうした悪循環の結果、最悪の結果として待っているのが孤独死や餓死です。
高齢者の破産において最も問題となるのは、やはり健康問題。
親族と暮らしている高齢者や、福祉施設に入所している方でないと、日頃の些細な変化にも気がつけません。
さらに年齢を重ねると認知症の発症リスクも高まるため、親族の気がつかないうちにお金を使い込んでしまっている…というようなケースもあります。
退職後の生活のイメージを考える。年金がどれくらいになるのか、それに合わせた生活へ
老後のためにきちんと貯蓄をしよう、と考えるのは、およそ50代を過ぎてから。
その頃になると、定年後にどれだけお金が貯まっているか、自分でも計算できるようになるためです。
日本の高齢者の長寿化は進んでいますので、退職後30年ほどの余裕は欲しいところですよね。
平成30年2月16日に統計局から発表された「家計収支の概況」を見てみましょう。
二人以上の世帯のうち、高齢者無職世帯の実収入、可処分所得、平均消費支出額は以下の通り。
実収入平均額 |
20万4,587円 |
可処分所得 |
17万6,636円 |
平均消費支出額 |
23万7,682円 |
不足額 |
6万1,046円 |
つまり退職後30年(360ヶ月)以上平穏に暮らすには…
360ヶ月×61,046円=2197万6,560円
つまり約2200万円以上の貯蓄があったほうが良い、ということになりますね。
参考:http://www.stat.go.jp/data/kakei/sokuhou/nen/pdf/gy02.pdf
ちなみに、実収入のうち約19万6千円程度が社会保障給付、つまり年金になります。
夫婦ふたり、毎月19万円程度の消費に抑えることができれば、たとえ貯蓄が2200万円なくても暮らしていける計算です。
しかし、前項で上げたような老後破産の様々なリスクを考え、万が一のことを考え…様々な心配事は尽きません。
たとえば、次のようなことがよく挙げられます。
- 子どもの有無
- 住宅ローンの支払い
- 無駄な保険料の支払い
- 自営業の廃業 など
こうした老後破産の心配を避けるために、今からどんなことができるのでしょうか。
外に出て働けなくなっても収入が入ってくる仕事を見つけておく
今の時代、外に出て働かなくても、コンスタントにお金を稼ぐ方法はたくさんあります。
たとえば、ネットを介したクラウドソーシングサービスの活用。
文章を書いたり、簡単なアンケートに答えたり、簡単な作業をこなすことで収入を得られるようになります。
そうは言ってもパソコンが使えない…という方は、今からでもタイピングの練習を始めましょう。
老後は何が起きるかわからず、いつどんな時にお金が必要かわかりません。
年金収入だけではカードローン利用も断られる可能性が高くなります。
いざという時のために、外に出なくてもお金が稼げる手段は一つでも多く持っておくべきです。
ローンや保険料の支払いを見直し、できるだけ早く終わらせる
持ち家や自動車、保険料の支払いなど、老後も何かと毎月の支払いが残る場合があります。
可処分所得額を見ても分かる通り、定年後に使える毎月のお金はかなり限定されます。
しかもそのほとんどが年金収入であり、人によってはもっと額が少なくなる恐れもありますよね。
固定費の支払いによる家計の圧迫を避けるためには、まずは保険料支払いの見直し、解約を行うこと。
ローンの支払いはできるだけ仕事をしている間に終わるよう、繰り上げ返済やボーナス返済を有効活用していきます。
返済完了はまだまだ先…と思っていても、あっという間に働けなくなってしまうもの。
余裕のあるうちに返済を終えることも、老後破産を避けるための大きなポイントです。
個人型確定拠出年金を積み立てておく
2017年1月から一部の金融機関で運用できるようになったのが、「個人型確定拠出年金」、通称iDeCo(イデコ)です。
これは掛金を自分で運用、積み立てながら、60歳以降に受け取ることができるもの。
運用方法や掛金の金額は毎月5000円から自分で選べて、年金の加入状況によって上限が変わります。
個人型確定拠出年金の大きなメリットは、ズバリ節税対策になる点にあります。
- 積立時:掛金の全額所得控除
- 運用時:利益の非課税
- 受取時:一定額まで非課税
一般的な個人年金では、掛金の控除金額に上限があります。
予定利率もどんどん下がっていく傾向にあり、還付金額で考えても個人型確定拠出年金が圧倒的に有利な時代です。
そのため、今は個人年金より個人型確定拠出年金を、という流れができています。
資産運用はちょっと…と苦手に感じるかもしれませんが、各金融機関やキャンペーンをよく調べた上で加入すると良いでしょう。
まとめ:老後破産回避のためには…やっぱり自分の健康が第一?
「老後破産が心配ならこれだけ貯蓄するべき!」という謳い文句は、実はそれほどあてになりません。
がんや認知症など、大病のリスクは高齢になるにつれてどんどん上がっていきます。
もしかしたら子どもや孫が病気になったり、大きな事故を引き起こす心配だって拭えません。
そう考えると、「万が一」に対する対策はいくらでも必要になってきます。
老後もずっと健康でいることはとても難しいですが、日々の生活を少しずつ変えていくことはできるはず。
限られた年金収入の中で、どれくらい消費を抑えられるかがポイントになってくるでしょう。