「中年フリーター」、こうして見るだけでも絶望感溢れる字面です。
一度退職するとなかなか正社員に戻れない、非正規雇用で働くしかない…。
2000年代の就職氷河期に成人となった世代、今は40歳近い方が抱えている、大きく険しい課題のひとつです。
もちろん「フリーターだからこそできること」をはじめ、自由性に関するメリットは計り知れません。
しかし、非正規雇用の場合やはり気になるのが老後のことや、万が一の時のこと。
収入がなければ親孝行もできないし、ローンも組めないし、年金の保険料も心配ですよね。
ここではそんな「中年フリーター」について、その一端を解説していきます。
中年フリーターでも生きていけるのか?老後のリスクについても詳しく調べていきましょう。
具体的に…中年フリーターとは?正社員になれない中年たちは悲壮なのか
それでは、中年フリーターとはどの世代のことを指すのでしょうか。
ネットニュースなどで取り上げられるのは、2016年度の総務省調査。
これによると「不本意ながら非正規雇用で働いている35~54歳までの人が125万人いる」という結果になっています。
ちなみに男性49万人、女性は76万人で、主に育児などで離職した後、正社員になれないという問題が出ているようです。
参考:http://www.stat.go.jp/data/roudou/index.htm
ちなみに、2016年の非正規雇用で働いている人の数は、2026万人。
そのうち35~44歳は385万人、45~54歳は398万人となっています。
この世代は「就職氷河期」とも言われ、バブル崩壊後の2000年に成人を迎えた世代。
就職できずバイトだけで食いつないできた方たちが、一気に高齢化を迎える時が刻々と近づいているのです。
なぜ中年フリーターは再就職できないの?企業側の切実な理由と本音
中年世代がフリーターになってしまう理由はいくつか考えられます。
- 一度は正社員になったのにリストラされた
- 就職氷河期でうまく就職できなかった
- 家庭や体の問題から、ずっとバイトをしてきた
- フリーターでもやっていけると思っていた
- 育児や介護で離職したあと、正規雇用に戻れなくなった
正規雇用で働きたくても、やむを得ない理由から非正規雇用を選ぶ方もいます。
「じゃあ就職するなり就活するなりすればいいのに」…そう思う方もいるでしょう。
確かに求人票には、「年齢不問、学歴不問」と書かれている企業も多くなりました。
しかし実際に企業が求めるのは、「即戦力となり、将来的にも期待できる若い人材」です。
社会人としての経験が薄く、非正規雇用期間の長い中年フリーターを正社員として採用するには、企業側もある程度のリスクを背負わなければいけません。
長期的な目で考えても、40代以上の方が仕事をするとなると時間的猶予もそれほどありません。
程なく退職を迎えてしまう人に対し、新卒と同じかそれ以上の給与を支払うのは、企業としても利益に繋がりにくいのです。
やっと就職できたと思ったらブラック企業…体力的な問題もいずれやってくる
それでも努力を重ね、なんとか就職にこぎつけた、という方も少なくはありません。
しかしようやく就職できたとしても、様々な諸問題がつきまといます。
- 周囲や上司がみんな年下
- 体力の問題
- パソコンが苦手でうまく使えない
- 支援がほとんどない
- 出会えても結婚が難しい
まず40代以降の就職ともなれば、周囲や上司が年下であることも考えなければいけません。
体力的な問題もありますし、PC操作が苦手ならさらに周囲から置いて行かれてしまいます。
また再び離職すると再就職のための支援がほとんどなく、貧困に陥る可能性があります。
正社員は少しずつ昇給していきますが、フリーターの収入はどれだけ長く働いても変わらないまま。
この差は年々拡大し続け、最終的には埋めようのないほどの収入格差が発生します。
「自分は周囲にバカにされている」
「今更どこに行っても正規雇用は難しい」
中年フリーターにとって、こうした諦観が生まれてしまうことが一番の問題点と言えるでしょう。
ちなみに…社会保険や年金、生活保護の利用も、世間から厳しい目が向けられる
こうした中年フリーターに対して、「就職氷河期の被害者」であると同時に、「努力不足」「甘えである」という見方をする人も少なくありません。
確かにバイトだけで生活していた場合、様々な弊害が巻き起こることがあります。
- 貯蓄ができない
- 社会保険料の未払い
- 国民年金保険料や奨学金の未払い
- 生活保護の受給で追求される恐れがある
まず大きな問題として、バイトだけだと貯蓄ができるほどの余裕が生まれない、ということです。
1ヶ月の賃金が8.8万円以上、かつ一定の条件を満たしていると、バイト・パート先の厚生年金と健康保険に加入する必要があります。
配偶者や親の扶養内に入っている方も多いかもしれませんね。
こうした被扶養者であれば、保険料の支払いをしなくても保険証を利用することができます。
しかし年収が一定額を超えると、各種保険料が天引きされるため、手取り額が大幅に下がります。
かといって年収を抑えていると今度は貯蓄ができず、将来的な不安は残されたままになります。
国民年金の未払い、奨学金の未払いなどが問題になっている昨今、特に気にしている人にとっては大きな問題です。
生活が苦しいからと生活保護を申請しても、職員から冷たい対応を取られる場合も多いようです。
こうした中年フリーターを回避するためには、いつまでにどんな対応を取るべきなのでしょうか。
中年フリーターを避けるためにはどうすればいい?30代までが勝負
これからの時代、中年フリーターを避けるためには「早期の正規雇用」が一番現実的です。
どんなにギリギリだったとしても、30代までには正規雇用に落ち着いておきたいところ。
例えばアルバイトでも正社員登用があるところを狙ったり、将来的にスキルを伸ばせそうな勤務先を選んでください。
もしも中年フリーターに陥ったらどうすればいい?一人で解決するのは困難かも
では、もしもこれから中年フリーターになってしまった場合、何か打開策はあるのでしょうか。
- 就労支援センターに相談する
- 個人事業主としてフリーランスで稼ぐ
ぱっと考えられるだけでも、この2つの結論に行き当たる方は多いでしょう。
起業しフリーランスで稼ぐ方もいますが、多くの場合は再就職したい、と仕事先を探しますよね。
でも、ハローワークや行政が力を入れているのは「若年層のフリーター」に対する支援がほとんどです。
中高年向けの仕事の斡旋となると、それ専門の事業や相談窓口を探す必要があります。
公益財団法人 東京しごと財団
公益財団法人「東京しごと財団」では、30~54才の中高年者向けサービスとして、セミナーを開いたり、相談窓口を設けています。
ミドルコーナーという部門では就職相談のほか、起業やNPO、在宅ワークで働きたいと思う人の相談にも尽力しているようです。
また社会保険や年金の相談も可能なため、前項で取り上げた不安要素も解消できそうですね。
参考:http://www.shigotozaidan.or.jp/link/target_middle.html
大阪市地域就労支援センター
同様の就労支援は大阪市でも行われています。
大阪市地域就労支援センターでは、すべての方向けに「就職応援プラザ」というイベントを開催。
大阪市住まいの方でなくても、府下の地域就労支援センターを案内してくれます。
仕事に関することであればなんでも相談可能、年齢制限もありません。
参考:http://www.pref.osaka.lg.jp/koyotaisaku/shiencenter/
FROM40
40歳以降に転職を考えている場合、とにかくまずハローワーク、という考えがあるかもしれません。
しかし40歳・50歳でも、若者と同じようにネット上から転職先を探すことができます。
「FROM40」は多種多様な職種の中から、自分にピッタリな求人を探せるネット上のサービスです。
独立やフランチャイズ契約に関する資料請求も可能なので、興味のある方はぜひ参考にしてみてください。
まとめ:中年フリーターはとにかく老後が不安。路頭に迷う前にやるべきことはすべてやる
もうすぐ40歳に差し掛かろうか、というところで、未だにバイト戦士…。
収入面の不安だけでなく、老後の不安も大きくなってくる頃ではないでしょうか。
現実を直視することは難しいかもしれませんが、親や家族、頼れる人は先に逝ってしまうもの。いつまでも宛てにし続けることはできません。
だからといって国の保障や法の是正を期待していても、それが世間に浸透するまでの時間がもったいないです。
何もかも失って路頭に迷ってしまう前に、できることはすべてやっておきましょう。
就労支援センターへの相談、仕事探し、スキルの向上、人脈の行使、給付金制度の利用…。
どんなことにでも、必ず何かヒントは残されているはずです。