「夫が生活費をくれない…」というのは、専業主婦にとっては切実な悩みのひとつです。
働いていないとはいえ、生きていくには当然最低限のお金が必要になります。
しかし妊娠中や小さい子どもがいる家庭、保育園にも入れないなどの事情から、なかなか働きたくても働けない状況にある方も少なくありません。
「夫が生活費をくれない」理由は様々ですが、大半が「夫婦仲の悪化」によるものです。
時には法に訴え、力ずくで支払わせる方もいるようですが…大抵はその前に離婚を選択します。
できれば自力で説得したいところですが、なかなか切り出しにくい話題でもありますよね。
ここでは生活費をくれない夫に対する解決策を、いくつかピックアップして紹介していきます。
夫が生活費を入れてくれない時の解決策。すっぱり別れるのも1つの手段
夫が生活費をくれず、生活に困っている場合、できる対策はいくつか考えられます。
- 毎月最低限必要な生活費について把握してもらう
- なぜ生活費を入れてくれないのか直接抗議する
- 夫の家族や友人から話してもらう
- 婚姻費用分担調停を申し立てる
- 離婚する
毎月どれくらい使ってる?生活費の把握と共有は必須事項!
夫が生活費を入れてくれないのは、「家にいるんだからどうせお金なんて使わないだろう」と思われているからかもしれません。
当然ですが実際そんなことはなく、ママ友同士のランチや近所付き合い、買い出しや病院など、お金が必要な場面はいくつもありますよね。
まずはずっと家にいるわけではない、ある程度のお金が必要なことを把握してもらいましょう。
具体的な方法としては、家計簿で収支を確認、毎月使う生活費の平均を出し、それを共有すること。
生活費が苦しい場合の解決策としても有効なので、「家計簿の共有」はぜひ行っておきたい策のひとつです。
なんで生活費をくれないの?できることなら自力で説得したい
家計簿を共有し、どれくらい生活費が必要か提示しているのに、それでも生活費をくれない。
ムダ遣いや浪費を指摘されたり、そんなに使わないと適当に流されてしまう場合もあります。
でも数字として明らかになっている以上、家計簿はウソをつきません。
それでも夫が生活費をくれない理由を問い質すことは、何ら悪いことではないのです。
この段階で高圧的な態度を取ってきたり、暴力を奮われそうになった場合は、容赦なく離婚を選びましょう。
夫の家族、友人からそれとなく伝えてもらう…場合によっては状況悪化も
でも、できれば温厚に済ませたいし、事を荒立てなくないですよね。
あなたが夫の家族や友人、上司などと仲がいいのであれば、彼らにそれとなく伝えてみるのも1つの手段です。
最も効果的なのは、家族を交えて生活費について話し合うこと。
ただし相手の両親だけでなく、こちら側の味方もしっかりと用意しておきましょう。
また証拠となる家計簿や数字はきちんと用意して、いざという時に備えておいてください。
婚姻費用分担調停を申し立てる。法的措置を行う場合はスピーディー
夫の家族が彼の肩を取り持ったり、話し合いで解決が見込めない場合は法的措置に移ります。
まずは内容証明郵便を送付し、生活費の支払いを求めます。別居でも同居でも大丈夫です。
それに応じなかった場合、家庭裁判所に婚姻費用分担調停を申し立てます。
裁判をするわけではなく、あくまでも二人の間に調停委員が入ったうえで話し合いを行います。
しかし調停は法的な拘束力を持ちます。
もしも夫が生活費の支払いに応じないことが第三者から見ても違法であった場合、強制執行を執り行うことができます。
強制執行では給与の一部を差し押さえて支払わせることができるため、生活費を確保できます。
強硬手段にはなりますが、今後の生活がかかっている大切な審判です。
決断したあとはスピーディーに事を進めていきましょう。
婚姻費用分担調停の流れや必要な書類と費用は?
婚姻費用の分担請求調停はお互いの生活を維持するために資産や収入などを分け合う方法です。
申し立ては別居中の夫婦の場合。
話し合いをしてくれない、話し合いがまとまらないといったケースで申請します。
裁判所公式サイト: http://www.courts.go.jp/saiban/syurui_kazi/kazi_07_03/
裁判所のホームページには「別居中の夫婦の間で」と書かれていますが、同居中でも婚姻費用を請求することは可能です。
同居中でも婚姻費用を請求することはできます。なぜなら、同居しているか別居しているかにかかわらず、夫婦には互いに扶助する(経済的に助け合う)義務があるからです。
ただし、婚姻費用算定表は夫婦が別居していることを前提として作成されていますので、同居中の場合には、算定表の金額を参考にしつつ、同居していれば負担しなくてすむ住居費や水道光熱費などについて調整(一定額を減額するなど)をするのが一般的です。
婚姻費用分担調停の流れ
最初に必要な費用は収入印紙1,200円分と連絡用の郵便切手です(各地域の管轄裁判所によって費用が変わる可能性があります)。
申し立てを行う際、下記の書類が必要になります。
- 婚姻費用の分担請求調停申立書(写しも必要なので合計2枚)
- 夫婦の戸籍謄本
- 収入書類(源泉徴収票や給料明細、確定申告書等)
必要書類を用意して申し立てを行うと、2週間程度で通知書が双方に送付され、その後調停が行われます。
申し込みをしてから大体1ヶ月後ぐらいです。
申立人と相手(つまり夫と妻)が裁判所に出向き、そこで話し合いを行います。
もし調停不成立となれば、次回の調停日が指定されます。
最終的に調停委員が婚姻費用を算定し、双方に提示します。
基本的にはそこで終了となるケースが多いですが、どうしても双方納得いかなければ審判に移行されることもあります。
きっぱり離婚も大いにアリ。数百万円の慰謝料を支払わせた判例も
生活費がどうしてももらえない場合、早期決着を図るならきっぱり離婚することも視野に入れましょう。
離婚の原因について、裁判所は中立な立場からお互いの責任を追求していきます。
- 元々どちらの行為が原因で仲が悪くなったのか
- 離婚の決め手となったきっかけ
こうした責任の所在について、夫側に大きく比重が傾いている場合、慰謝料を請求できます。
例えば、夫の浮気や不倫などの不貞行為は、明らかに夫側の責任ですよね。
後述しますが、「一方的な理由から生活費を支払わない」ということは明らかな法律違反です。
過去には、夫から妻に400万円もの慰謝料支払いをするよう命じた判例もあります。
なぜ離婚に至ったのか、原因や責任の所在をハッキリさせられる証拠は常に残しておきましょう。
夫が妻に生活費を渡さない理由は?自分のお金としか思っていない男性に要注意
実は、民法では「専業主婦の生活費を負担する義務」に関する条項があります。
第七百六十条 夫婦は、その資産、収入その他一切の事情を考慮して、婚姻から生ずる費用を分担する。
いわゆる「生活保持義務」ですが、簡単に言うと、「夫婦で生活していくうえでかかる費用は、二人で分担しなければいけない」という法律です。
例えば妻が洗濯、食事、子育てを担当するなら、夫はそれにかかる費用を稼ぐことを担当しなければいけません。
つまり「自分が稼いだお金だから」と言って、妻に全く生活費を渡さないのは法律違反なんです。
これは暴力としてのDVではなく、「経済的DV」として、少しずつ問題視されていくことでしょう。
夫が妻に生活費を渡さない5つの理由。浪費・借金癖はほとんど治らない!
では、夫が妻に生活費を渡さない理由はどこにあるのでしょうか。
代表的な理由を5つほど見てみましょう。
- あくまでも「自分のお金」として考えている
- 浮気、不倫
- パチンコなどのギャンブルで浪費している
- 借金を返済している
- 内緒で仕事を辞めてしまった
あくまでも「自分のお金」…貯金が好きすぎて妻にお金を渡さないタイプ
前項でも取り上げましたが、夫婦である以上、生活にかかる費用は分担しなければいけません。
自分で稼いだお金だからと言って、妻に全くお金を渡さず、貯蓄に回すのはNGです。
それなら妻も働けばいい、と考える方もいると思いますが、ではその間の家事は引き続き妻だけが行うのでしょうか。
仕事・子育て・家事のすべてを妻に負担させることは、明らかなハラスメントです。
生活していく中で最も辛い点を理解してもらえない苦しみは、推し量れないほど重いものです。
浮気、不倫は論外。別居していても生活保持義務は残っている
妻に生活費を渡さない大きな要因のひとつが、夫による浮気や不倫によるものです。
それまではしっかり生活費を入れていたのに、突然お金を渡してくれなくなった…。
こういった場合、わざと生活費を入れないことで離婚を切り出すのを待っている可能性があります。
ただし不倫や浮気が原因で別居状態になったとしても、夫には妻や子どもの生活を保持する義務が残っています。
話し合ってもどうしようもない場合は、調停申し立てなどの法的措置を取ることを考えましょう。
パチンコ・スロット…ギャンブルや買い物の浪費癖はひとりでは治せない
パチンコやスロットでお金を使いすぎて生活費に回せない場合は大変危険です。
浪費癖はなかなか自分一人での力では解決できません。
また高圧的な態度を取られ、対応が後手後手になり、気付いた時には借金まで…というケースも多くなっています。
こうした依存症にも近い状態になってくると、専門の医療機関にかかる必要も出てきます。
借金返済でとても生活費は出ない!早い段階から話し合いを行うことが重要
上記に合わせて、妻に内緒で借金を返済しているというケースがあります。
本人はできるだけバレないよう証拠を隠しているはずなので、根気強く問い詰めていきましょう。
借金を繰り返しているようであれば、今すぐにでも借入をやめさせる必要があります。
またすでに夫婦で返せるような額でない場合、早いうちに債務整理の相談を行ってください。
借金について人に打ち明けるのは恥ずかしいかもしれませんが、後回しにすればするほど問題は大きくなっていきます。
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妻に内緒で勝手に仕事を辞めちゃった!日頃からの話し合いはできていましたか?
何気なく言われた仕事に関する一言を、ズルズルと引きずって考え込んでしまうことってありますよね。
プライドの高い男性ほど、自分の仕事や収入についてアレコレ言われるのを嫌います。
仕事で辛かったこと、家で「疲れた」と漏らさない人ほど、色々な悩みを抱え込んでしまっています。
本当は辛くてしょうがないのに、吐き出し先がないと一人で悩んでしまうのは、男性でも女性でも起こり得ることです。
すると、ある日突然何の相談もなしに「転職のために退職した」という事態が起こります。
理由が転職ならまだマシですが、心身共に病んでしまっている場合、暫くの収入が完全に途絶えることになります。
そうなると専業主婦の方はもちろん、今後の夫婦生活にも大きな影響を及ぼす大事件です。
日頃から仕事や収入に関することを共有しておけば、こうした事態は回避しやすくなります。
まとめ:生活費をくれない理由はどこにある?日頃からしっかり収支を伝えておこう
夫が生活費をくれない場合、自分勝手な理由でなければ法的措置を講じることができます。
しかし一度は生活を共にした相手、できるだけ穏便に済ませたい方も多いはずです。
普段から収支について共有しておく、というのは難しいかもしれませんが、やましいことが何もないのならきちんと整理しておくべきでしょう。
無用なトラブルやその後の関係のためにも、可能な範囲で持ちかけてみると良いかもしれません。