「ニート」という言葉は、もはや現代ではお馴染みのものとなりました。
いわゆる「フリーター」とは違って、働く意志が持てず、働けない方のことを指しています。
2016年にはニート人口は55万人に上り、大きな社会問題としても取り上げられることが多くなりました。
かく言う筆者も、心身的な不調から1年ほど働けなかった時期があります。
その時期は「働きたくない」というよりも、「早く働かなくちゃ」という気持ちのほうが強くありました。
でもそれを外部から指摘されるとつらくなり、「とても自分には無理だ…」と泣いてしまうのです。
どうしてあんな心境に至ったのか、今なら言葉で説明できるかもしれません。
ここでは「脱ニート」のために考えたいことを解説していきます。
ニートを脱するにはどうすればいいのか…働きたくない気持ちはどこから来ている?
ニートとは元々Not in Education, Employment or Trainingの頭文字を取ったもので、日本では「若年無業者」と呼ばれます。
英文を見ても分かる通り、「教育、雇用、職業訓練を受けていない若者に対する機会」を呼称するもの。
しかし今日の日本では、メディアやネットの影響で「甘えた若者」「怠け者」として、罵倒する言語に成り代わってしまいました。
ニートになった理由をちょっと考えてみる。自己肯定感が低い人ほどなりやすい
ニートになった直後は、働かなくてもいいことに喜びを感じる人が大多数なのではないでしょうか。
その後も働かなくていい状況が続けば良いのですが、貯蓄はいつか尽きてしまいます。
「派遣やバイトをしても続かない、ド短期バイトにも行きたくない…」
いつかは働かないと、と思っていても、なかなか行動できないことがあります。
たとえば…
- 自分ではわかってるけど、いちいち家族がうるさい、しんどい、つらい…
- 自分に自信がない。働き始めても「こんなのではだめだ」と思ってしまう
- 人付き合いが怖い。人に会って、何か話すのが怖い。すぐ卑下されているように聞こえる
上記のように、完全に世界を閉じてしまっている、自分では社会貢献できないと思っている…こうした自己肯定感の低い人ほど、「何をやってもダメなんだ」と引きこもってしまいます。
周囲の人たちと自分を比較してしたり、ネット上での罵倒を見たりなど、「働いていないこと」が逆に枷になってしまうのです。
しかし働きたくても自分にあった仕事をなかなか見つけられず、ニート生活が長引いてしまう方も少なくありません。
社会貢献ってそもそもどういうこと?誰かの役に立つことだけが人生じゃない
「社会に貢献しなければいけない」「とにかく働いてお金を稼がなければならない」。
そもそも「社会に貢献してお金を稼ぐ」とはどういうことなのでしょうか。
「社会貢献」とは、社会の利益に資する行いをすることをいう。
ウィキペディアより
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%A4%BE%E4%BC%9A%E8%B2%A2%E7%8C%AE
ウィキペディア記事の中にもあるように、社会貢献には具体的な事例や、明確な判断基準や合意もありません。
そのため、「社会貢献とはこういうことだ」という独りよがりな意見が先行して耳に入ってきます。
少し検索をかけると、「社会貢献とはこうである」というページが無数にあって、鬱陶しく感じてしまう方もいると思います。
しかし今の時代、自分のやりたいことを貫く人生を送っている人もたくさんいますよね。
ネットが普及したからこそできる仕事や、お金の稼ぎ方は調べればたくさん出てきます。
では、「やりたいこと、やりたい仕事」とはなんでしょうか。
それこそが見つけられなくて苦労している方も少なくありません。
また、お金がないからやりたいことに挑戦できない、という方もいるかもしれません。
先にご紹介したとおり、今の時代だからこそできる働き方がたくさんあります。
少し具体的にして、たとえばこうした働き方はどうでしょうか。
- 在宅ワーク
- リモートワーク
- テレワーク
- 副業
- フリーランス
- 広告収入
かく言う筆者も、1年間の不調時期を通して痛感したことがあります。
「もっと多様な働き方について知っておきたかった」
「自分のやりたいことやペース配分について、もっと積極的に優先するべきだった」
「”こうしたお金の稼ぎ方もありますよ”と教えてもらいたかった」
もっともっと「稼ぎ方」について情報を仕入れていれば、体調のいい時にお金を稼ぐことができたかもしれません。
将来的にタイムマシンが発明されない限り、ニートだった時間を取り戻すことはできません。
もちろんそのすべての時間が無駄だった、というわけではありません。
どうしても働くことができず、お金を稼げたはずの時間をやり過ごしてしまったことが痛手なのです。
脱ニートには情報戦の勝利がカギ。見えざる意欲はここからしぼり出そう
とはいえ、ニート・引きこもり生活の只中にいる方にとって、こうした働き方に関することを考えるのは少し辛いかもしれません。
はじめに紹介したとおり、長くニート生活を続けてしまうと「自分はダメなんだ」という気持ちが根付いてしまいがちです。
まずはハードルをぐっと下げて、少しずつ段階的に脱ニートを目指していきましょう!
- 毎日ちょっとしたことで自分を褒める
- とにかく情報を仕入れる
- 自分の意欲を探してみる
まずは毎日ちょっとしたことで自分を褒めるところから
ニートの処世術なるものを見ると、いきなり「生活習慣を変えよう!」みたいな文句が並びます。
- 早寝早起きする
- 三食しっかり食べる
- 陽の光を浴び、体を動かす
- ジムに行って体力をつける
- バイトをする
- 資格を取る
- 派遣サイトに登録し、説明会に行く
こんな立派なことができていれば苦労しないーーー……!!
実際絶不調だった頃の筆者ができたことといえば、お昼ごはんを買いに近くのコンビニに行くくらいでした。
それ以外には部屋から出られず、何をする気力もない…そんな日が1年続いたのです。
「ある日突然何かを新しくはじめる」には、想像を絶するエネルギーが必要です。
他にも「期限を設けて、それまでに何かをする」、「明日こそこれをする」など、物事を短期間で解決しようと考えてしまいます。
極端に言うと、寝床についたときに「あれはどうしよう、これはどうしよう…」とその場で考え込んで眠れなくなってしまう状態と同じです。
何事も、いますぐには解決しません。
むしろ時間が解決することのほうが圧倒的に多いものです。
まずは自分の行いのちょっとしたことを褒めてみましょう。
「今日は外に出られた」「ラーメンを作れた」「洗濯物を畳めた」 だからえらい!
別にできたことを記録しなければいけないわけではありません。日記はハードルが高いのでやめましょう。
「日常的に自分を褒めること」を習慣にすることで、少しずつできることを増やしていきます。
情報戦を制する?知りたいことは積極的に調べてみよう
ニート生活をしている中で、日々仕入れる情報はどれくらいあるでしょうか?
あえてSNSやニュースサイト、テレビを見ないようにしている方も多いかもしれません。
他人の生き方を目にすることで、「それに比べて自分は…」と落ち込んでしまうからです。
少し億劫かもしれませんが、バズっている情報だけでも積極的に追いかけてみましょう。
悪意のある匿名の書き込みや興味のない分野については、無理に目を通す必要はありません。
ゲーム、スポーツをはじめ、アニメや漫画、テクノロジー、仮想通貨…。
こうした情報はすぐに消費されてしまいますが、時々「お?」とどこか引っかかる情報があると思います。
そうした引っ掛かりを大切に、積極的に調べて、時間を忘れて追いかけてみてください。
特にそれについてコメントしたり、無闇に情報を再発信する必要もありません。
情報量に疲れたら一旦インプットするのをやめて、しばらく日を置いてみるのもコツです。
世界は閉じられたものではなく、意外と大きく開けています。
あなたの意欲はどこから?欲しいものを探してみよう
最終段階は、「自分の欲しいもの探し」です。
欲しいものなんてたくさんある!と思うかもしれませんが、具体的にいくつ挙げられますか?
ニートになってお金が刻々と減っていくのを眺めていると、購買意欲も少しずつなくなっていきます。
欲しいもの、食べたいもの、行きたいところ…すべて「別にいいや」で済ませていないでしょうか。
当たり前ですが、それらはすぐには達成できません。
あくまでも最終目標として設定するだけに留めて、100個くらい書き出せれば完璧です。
正直な話、筆者も100個は書き出しきれません。あとあと追加できればよいくらいに考えておきましょう。
あとはその100個を達成するために、どんなふうな道のりを辿るか考えていきます。
考えるだけならタダです。バイトや働き方はそれを達成するための手段でしかありません。
まとめ:すべての人が社会貢献できるわけじゃない。いきなり脱ニートは難しいんです
ネットを見ていると、「ニートが就職成功!」といった文字に辟易としてしまいます。
まずはバイトから、というのはもちろんですが、心身が不安定な状態だとバイトも厳しいことがあります。
すべての人が正しく社会貢献できるわけではありませんし、正しく働けるわけでもありません。
「常に失敗しない」「常に正しい」はおよそ不可能なのですが、いかんせん自信がないとドツボにはまって身動きが取れなくなってしまいます。
まずは「こうあるべき」から「これができた」に考え方を少しずつシフトしていきましょう。
親や友人、SNSに何を言われても、それはあなただけの人生です。