「お金がないけど、カードローンから借りるのだけはイヤ!」
借金は悪いこと、というイメージが根強い日本では、消費者金融に抵抗感を覚える人も少なくありません。
それでもお金を工面しなければ…そんな時、もしもあなたが生命保険に加入していたら利用できる貸付けがあります。
それは、各保険会社で用意されている「契約者貸付」という貸付制度です。
簡単に言うと、保険を解約した時にもらえる「解約返戻金」の一部を、一時的に貸し付けてもらえる、というものです。
保険会社からお金を借りることになるので、当然返済先も保険会社になります。
「でも、手続きが面倒くさそう…金利もカードローンと変わらないんじゃないの?」
そんな風に思っている方のために、ここでは契約者貸付をイラスト付きで解説していきます。
生命保険の契約者貸付とは?どんな仕組みの制度なの?
まずは、生命保険の契約者貸付の大まかな仕組みについて解説していきましょう。
契約者貸付は、解約返戻金の一部を、保険を解約しないまま借り入れられる制度です。
利用する条件として、「解約返戻金のある積立式の保険」に入っていることが挙げられます。
たとえば…
- 終身保険
- 学資保険、こども保険
- 養老保険
- 個人年金保険 など
自分の入っている生命保険が契約者貸付の対象となっているかどうか、一度確認してみましょう。
契約者貸付はいくらから、どれくらい借りることができる?
保険会社によって違いますが、一般的には、最低1,000円~1万円からの利用となっていることが多いようです。
また借りられる上限額は、発生している解約返戻金の8割から9割程度となっています。
つまり、積み立てれば積み立てるほど、借りられる上限が上がる、ということになります。
反対に保険料を積み立てていない場合、契約してすぐには借り入れることができません。
契約者貸付のメリット。金利が低く返済がしやすい!
それでは、この契約者貸付を利用するメリットを見ていきましょう。
契約者貸付の大きなメリットとしては、審査なしで貸付を受けられることです。
貸金業者から借りるわけではないので、信用情報を照会されることもありません。
またカードローンに比べ利子がとても低く設定されています。
金利に関しては保険商品や契約時期によって異なるので、しっかり確認しておきましょう。
さらに、保険契約期間であれば、返済はいつでも、いくらでもOKとなっています。
「ボーナスが入ったから一気に返済!」というのももちろんOKです。
契約者貸付のデメリット。保険が失効してしまうおそれも…
それでは反対に、契約者貸付のデメリットにはどのようなことがあるのでしょうか。
契約者貸付のデメリットは、各保険会社のページには記載されていないことが多くあります。
要するに、「返済しないと保険が失効するか、受け取れる金額が減る」ということですね。
なかでも、「利息が複利である」ということはきちんと把握しておきましょう。
契約者貸付の利息計算が「複利」ってどういうこと?
契約者貸付では、多くの保険会社が「複利計算」を採用しています。
上記のように返済しないでいると、利息がどんどん元金に含まれることになります。
この利息と借入額の合計が解約返戻金を超えた時、保険契約が解消されてしまうことになります。
しかし、利息さえ支払っていれば、元金に利息が組み込まれることはありません。
どうしても返済が難しい、というときには利息だけでも支払うようにしておきましょう。
契約者貸付の申請方法。必要になる書類は保険会社によって違うことも?
それでは、この契約者貸付を申請する手続きの手順や、必要な書類を確認していきましょう。
契約者貸付の申請に必要な書類。まずは保険会社に連絡してみましょう
まず、契約者貸付に必要になる書類は大まかに以下のとおりです。
- 保険証券(保険証書)など、証券番号がわかるもの
- 印鑑証明書
- 本人確認書類(運転免許証やマイナンバーカードなど)
- 各社規定の申込書、請求書
これらの必要書類は保険会社によって大きく異なります。
また保険会社によっては、インターネットや電話からでも手続きが可能です。
その場合は書類が不要になる場合もあるので、前もって確認しておくと良いでしょう。
契約者貸付の手続きと返済方法。インターネットからなら簡単でスムーズ!
では、契約者貸付の手続きはどのように行うのでしょうか。
契約者貸付の申請手続きは、まずは保険会社に連絡するところから始めます。
その後手続き用の書面が送付されますので、記入して返送し、それで手続きは完了です。
審査や担保も必要ありませんので、インターネット上で完結することも少なくありません。
また、返済は主に以下のような方法で行うことができます。
- インターネットから返済する
- 窓口で返済する
- ATMから返済する
- 振替用紙で返済する
- 集金で返済する
※大手保険会社では、口座引き落としによる返済はできないので注意しましょう。
利息だけでも払っておけば安心…というわけでもない
すでにご紹介したように、契約者貸付の返済期限は定められていません。
返済が間に合わないからといって、借金をしてまで返済する必要はありません。
しかし、どんどん元金が膨らんでしまいますので、利息だけでも支払っておくようにしましょう。
これは「利息返済」と呼ばれる方法で、最終貸付日から1年ごとに、利息だけを返済できます。
でも、だからといって元金を全く返済せずにいるのは危険です。
最終的には保険契約の解消、祝い金などから差し引かれてしまうことになります。
まとめ:契約者貸付ではデメリット把握も大切。あくまでも一時利用に留めましょう
生命保険の契約者貸付は、審査されることなく貸付けを受けることができる便利な制度です。
取り立てや督促も行われず、返済のペースも自分で決めることができます。
解約返戻金が発生していれば利用できるので、お金に困った時は相談してみると良いでしょう。
しかし、多用してしまうと保険契約が解消されたり、受け取れる保険金が減ってしまうことになります。
長年コツコツと積み上げてきたものを無駄にしないよう、あくまでも一時的な利用に留めておきましょう。